iPodにはこんなに容量があるのに、聴きたいものがなにひとつ入っていないように感じることがないだろうか。所詮は自分で集め、取り込んだものだから、驚きや偶然というものが生まれにくい。好きなものはたくさん入っていても、未知のものに揺さぶられるということは稀である by 橋元優歩
— Copy writing (@Copy__writing) October 31, 2014
そーなんだよ。
一時期ボーカロイドの曲にハマっていろいろ漁っていたころは、それまで全く触れてこなかった曲・ジャンルとの出会いを物凄く楽しんでいた。
しかしそれが一段落して以降、ここ何年かはこの問題に悩まされている。
いつ聴いても同じ曲ばっかり、かといって新しいCD買ってきて入れてもろくに聴かなくなってる。何だよそれ。
好きな(好きだった)ものだけ選んでれば暇という名の空白を安定して埋められるようになって、今この曲の気分じゃない(曲スキップ)、これも違う(曲スキップ)、これ聴こう・・・1番聴いたからもういいや(曲スキップ)、ってのに慣れてしまったせいでひとつのものを聴き続ける力が失われてしまったらしい。
媒体がCD(とその前のLP)の時代は基本的にハードに1枚しか入れられないから、中身を替えに行くまで延々そのアルバムをリピートするはめになってた。
CDセールス全盛の時代に音楽を聴き始めてそうすることが普通だった世代なもので、当たり前だったことが知らないうちに変化していることに気づいてかなり戸惑っている。
いや別に当時が一番良かったっていう訳じゃないんだけど、アルバム1枚を1番から通してなるべく飛ばさずに聴くってことを意識してやってみると、これがまた疲れるんだよ。
普通に出来ていたことがいつのまにか出来なくなる、しかもそれを時代の流れの中で失ってゆくことを感じるのって、けっこう切ないな。
見てこれ。
再生数順で並べ替えた俺のiTunes。
5年以上前の曲ばっかり、2000年以前の曲もちらほら。いかにもプレイリストばっかり垂れ流してます、という感じ。
別に、過去の音楽なんか聴いちゃいけねえそんなのだせーんだよバカヤロー俺は時が止まった大人なんかになりたくねぇ俺は苔の生えねぇロックンロールな男なんだぜってんじゃなくて、新鮮味のないいつもの曲ばっかりだと能動的に音楽に触れる意義を無くす。
そこで新鮮さを求めて過去に向かうわけ。
そうすると子供の頃アォ!なんつって笑いのネタにしていただけのマイケル・ジャクソンの曲をちゃんとフルコーラス聴いて格好良いものだと知ったり、ボヘミアン・ラプソディ後半の爆発力に気付けたりする。
前回、昔とか大して戻りたくないんですけどって内容を書いたけど、昔を見てみたいって欲求はあったりして、まぁそれは音楽に止まらず、例えば94年アメリカW杯のロナウドやオーウェンやバッジョを見たいし、競馬だとメジロマックイーンvsトウカイテイオーのMT対決やサクラバクシンオー・ナリタブライアンをリアルタイムで見ている人は羨ましいなー、と。
見たいってその試合やレースをただ見たいんじゃなくて、戦前から実際に事が起こるまでの雰囲気や流れをを肌で感じたい。味わいたい。
でももしそれをリアルタイムで見てると今度はファンバステンのゴールが見たい、マラドーナのイケイケっぷりを見たい、オグリキャップが見たい、ミスターシービーが見たい…ってなるんだろうな。
あと高度成長時代の日本の労働者の雰囲気もちょびっと知りたいよな。知らないほうがいいのかな。どうなのかな。気になるな。ビートルズの時代だよな。いいな。
そうやっていろいろ考えると古典落語が廃れない理由がわかるような気もするし、レジェンド的な名曲は今でも色褪せずギラギラしやがってるんだけどそこには絶対的に望めないものがあって、その未来に対してのワクワクが持てない。
当たり前のことだが、今ナリタブライアンのレースを見ても、すげー、つえー、と思うことはあっても「次はどんなレースを」ってワクワクはない、過去に対しては事実それ以上を期待できないんだよね。
(例外として、30年前からヒット曲があって今でも新譜出してる恐ろしいアーティストも一部いるが)
まぁアンリ見たし、ロナウジーニョ見たし、ステイゴールド見たし、ディープインパクト見たし、オルフェーヴル見たし、宇多田ヒカル聴いたし、それぞれのハチャメチャが押し寄せてくるふわふわ時間を過ごせたのは人生の大きな収穫といえる。
半年くらいにTwitterでSEKAI NO OWARI(セカオワ)のボーカルの「今時まだギター使ってんの」発言が炎上してて、とりあえずその不届き者の曲を聴いてみたのよ。
たまたま聴いたのが「炎と森のカーニバル」で、あららめちゃくちゃ良い曲じゃないのいやねぇってな感じでびっくりした。
目を瞑るべきポイントもいくつかあるが、このアーティストには今後を期待したくなる。
前作のアルバムも買ったけど聴いてて疲れちゃうんで、早く次のアルバムを。
こういう偶発的な出会いはどうしたら増えるんだろうか。常にアンテナ張れってか、それはめんどくせーな。
でも、窓を開けて新しい風を入れるってことをしないとやっぱり空気は淀むな。
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これはまた少し問題の種類が違うような気がするけど、俺と同年代でカラオケ行ってセカオワ歌ったら盛り上がるのかな。無理だろ。
「お前最近そんなの聴いてるのか、若いなぁ」って言われそう。
ちょっと言われたいような、絶対言われたくないような。