少し荒れた平原みたいなところにいた。草はまばらに生えていて、ところどころ土が露出している。
横にいるもうひとり以外に人の気配はない。夕暮れ時でも周囲はまだ明るく、少し風が強かった。寒さは感じない。
足元にうさぎが5~6羽くらいいた。
成犬と同じ意味で成兎という言葉はあるんだろうか、そこにいたうさぎ全てが成兎の少し手前という感じだった。
そのうち1羽は耳が緑色でギザギザになっている、おそらく体調かなにかが悪い影響でこうなってしまっているのだろう。
耳はともかくこいつが一番かわいいなと無意識に感じていた。
一緒にいたもうひとりとそのうさぎ達を見ていて、どれかひとつを連れて帰ろうということになった。そのもうひとりと俺はだいぶ気心の知れた仲らしい。
連れて帰るうさぎの決定は俺に委ねられている。
「どれが一番早く死ぬの?」
もうひとりに聞いた。どれが、というのはどの品種が、という意味だ。
そこにいるうさぎ達は耳が緑のもの以外見た目も大きさもほとんど変わらないのに、1羽1羽全て品種が違うという認識がはっきりとあった。
品種によって寿命がいくらか違うらしく、もうひとりはそのあたりことに詳しいらしい。
「それ」
耳が緑色だったうさぎを示す。
気付いたら普通の耳になっていたが、そのことは二人とも特に問題にはしていない。
「やっぱりそうか」
少し嬉しい気持ちになった。その耳が緑色だったうさぎを抱き上げ、連れて帰る。
住んでいる家は石か煉瓦で出来た平屋で、内装はファイナルファンタジーの民家のような洋風だった。
うさぎの赤ちゃんがどういう状態なのか知らないが、そのうさぎは赤ちゃんうさぎのように手のひらで少し余るくらい小さく可愛くなっていた。
目やにを出していたのでタオルで拭いてあげた。愛おしいほどかわいかった。
そこで目が覚めた。少し涙ぐんでいた。