母父トニービン

明るいところで読んでね

あの冬の朝の張りつめた寒さ

 
 昨日は阪神淡路大震災の日だった。
 正直すっかり忘れていて、夕方になってから気付いた。あっやべっ、っつって。なにがやばいのかはわからないが、罪悪感というのではなさそうだった。
 あの震災翌日の朝、テレビで見たあの光景は忘れられない。街が全部崩れていた。これはもうおそらく一生忘れないのだろう。なんて言っているが、よくよく考えてみるとどんな光景だったか詳しく思い出せない。記憶なんてものは全くいい加減だ。
 朝起きてそういうことがあったと知り、その結果だけを画面から投げつけられたからより印象に残っているのではないか。あの冬の朝の張りつめた寒さ。実家の小さなテレビ。その年の正月に関西から埼玉に引っ越してきた、同級生のR君。
 東日本大震災の時の高所からの空撮映像で、津波で海岸線が全くわからなくなって見えたのも唖然とした。こんなことが起こるのか。それだけでなくあの時は、まさに揺れている最中や逃げ惑う人々など直後の状況が沢山撮影されていた。毎日家に帰ってNHKを点けて、それを涙を流しながら見ていた。なぜかはわからないが、見なければいけない、と思った。あの後はしばらく桃鉄がプレイできなかった。
 日付けを覚えるのが得意と言いながら昨日の日中はすっかり忘れていたから、今日の雪はバチが当たったんだな、と勝手に思って過ごしていた。そういうのは個人で勝手に思えばいい。これくらいで大雪という表現をするテレビを見ていられるなんて、どう考えても幸せなほうだ。一昨年の大雪があって準備した除雪グッズの活躍に喜びを感じていられるなんて。あの震災の前に、多少の対策を入れていたから、なんて。
 雪の日は心が落ち着く。冷たい落ち着き、優しい落ち着き、テンション低い、どれにも当て嵌まらない。雪の日は心が落ち着く、で過不足を感じない。鎮まる、がやや近い。心に何も無い。
 また、雪の日は湿度があるからそれほど寒さを感じない。通勤の道のりが大変で必死なことも作用しているかもしれない。どちらにしても、空気はとても冷たいがいつも通りに着込めば凍えるなどということはない。
 寒いから雪が降るのに、雪が降るから寒くない。パラドックスか。私は嘘をつく人間です、というやつか。
 北海道や東北から埼玉に来た人が時々「いや埼玉のほうが寒い」と言う。こちらからすると驚きだが、向こうの言い分としては、雪の日の寒さはなんともないが晴れた日の空っ風がどうしても耐えられない冷たさなのだそうだ。寒さの質が違うということか。絶対吹雪のほうが寒いと思うんですけどー。
 タイキブリザードの子供にタイキフブキっていたな。全然走らなかった。確認のため一応調べたが、母の父はトニービンではなかった。