母父トニービン

明るいところで読んでね

ダークシャドウの話します

 

じゃあダークシャドウの話するわ。

 

いやーもうこの馬はなんたって馬名がdarkでshadowだからね。闇で影だよ。最高かよ。

馬名のつくりとしては「父名の一部+冠名」なのでオグリキャップナリタブライアンあたりと同じノリのはずなのに、条件が揃うとこんなにも中二病っぽくなるなんてやっぱり競馬はわからない。


それでいて馬体はサラッと綺麗な栗毛だなんてもうあなた一体どうしたいの、ってなことを勝手に思うんですよこっちは。

もし登録馬名が「ダンスシャドウ」だったら俺絶対好きになってないんだろうな。

 

謎の大物感

 

闇影さんを最初に知ったのはセントライト記念だったなぁ。

「3戦2勝の上がり馬」みたいな触れ込みで、そこに馬名も相まってたのかわからんけど謎の大物感を漂わせていた。前走で負けといて上がり馬もないだろって話なんだけど。

ヤマニンエルブが大逃げをして、それを積極的に捕まえにいく競馬をしたところからパッタリ止まって5着。急に右手が暴れ出したのかもしれない。

 

翌年の大阪杯

いま見返してもなかなかのメンバーが揃っている中なので人気は落としたけれど、後方からまとめて差しきるかという勢いで伸びてきて、ハナ差の2着に入った。

あー、あの時のあいつだ、やっぱり走るんじゃん。

っていうか前走1000万下を勝ったばっかりなのに、実際に結果出たとはいえずいぶん攻めるローテーションだな。関東馬なのに。

 

エプソムカップは大した相手もいなかったので、人気になって楽勝。

 

いざG1へ

 

毎日王冠

この日は競馬仲間と集まることになっていて、東京競馬場に行って見ていた。

いやーさすがにリアルインパクトには負けないでしょー。というか、どう考えてもダークシャドウが勝つとしか思えなかったんだよね。

オッズは2倍ちょっと、よし行ったれ、ということで単勝を少し多めに買った。

金額をどうするか以外に考えることがなかったから締め切りまで時間が余っちゃって、遊びで穴馬を買うなどして過ごした。

結局2.0倍までオッズは下がったけれど、俺には充分おいしい馬券に思えた。だって勝つもん。なんか負ける要素ある?

 

闇影さんはいつも通りゆっくりめのスタートから後方待機、飛ばし屋になる前のシルポートが超スローペースで逃げる。岩田のリアルインパクトは前目のいい位置。

リアルインパクトが追い始める。直線に向いてもダークシャドウは周囲を包まれたまま、外に出られない。

 

うわ・・・福永やりやがった・・・

 

負ける要素あったわ・・・騎手か・・・

 

リアルインパクトが抜け出して、これはもうどう見ても絶望だった。最終レースに気持ちが向きかけて目を逸らした直後、


あれっ?ダークシャドウ伸びてるじゃん。

どっから来たの?あららら差し切ったよ。


よくわかんないけどよかった~~~~。ここへきて、右腕に封印されていた力が発動したんだなきっと。

金返せ!と思ったら2倍になって返ってきたよ。言ってみるもんだね。


 

天皇賞は乗り替わりになりました。福永はトゥザグローリーに乗るんだって。ふーん。そう。なんだよ。いいけど。

毎日王冠で儲けた分をそっくり単勝に注ぎ込んで、前回興奮できなかったぶんまで直線は叫んだ。

 

ベリーーーー!!!!!

 

惜しかった。でもだめだった。きっと邪気眼は連続で使えないんだよ。

はぁ。冷静に複勝にすべきだった。この日は馬券が好調だったので気が大きくなってたんだよなぁ。

でも、単勝を買うから競馬は楽しいんですよきっと。いやトーセンジョーダン買ってた人が一番楽しかったんだろうけどさ。

 

うーむ

 

とは言え、なんとも前向きになれない気持ちがけっこう強くてね。天皇賞を終えてよくよく考えてみると、この3戦は「東京・芝・中距離」というこの馬の適正があって結果が出ていたと思える。

そりゃあどこでもどんな相手でも勝てるのが本当に強い馬なんだろうけど、この馬が狙えるG1はそんなに多くなさそう。

本当に惜しかっただけに、天皇賞は尚更悔やまれるよなぁ。

 

 

少し休んで、翌年は京都記念から。また福永に手が戻る。

京都2200mはちょっと合うのかわからんけど、逆に言うとここを完勝できるなら期待が膨らむよね。

まあ、勝つイメージもそんなに沸いてないんだけどさ。

そんな感じでぼんやり見ていたら、武豊の好騎乗が炸裂して、トレイルブレイザーが押し切り勝ち

闇影さんはだいぶ離された2着だった。うーむ。

 


次はドバイに遠征。

あ、国外か、その手があったよ。がんばれ!うまくすりゃあチャンスあるぞ!世界を闇で覆い尽くすのだ!

しかし全くいいところなく負け。まあ、ここはダメなら仕方ないか。

 


夏は札幌記念

この時はスタートもうまいこと出て、そこから無理に下げることもなく、なんと番手からの競馬になった。

おっ、これは面白い!いいぞ福永!


スローペースもあって逆に仕掛けどころが難しくなってしまったのか、消極的なまま4コーナーで先頭に立つ形になって、結局まくり気味に勢いをつけて上がってきたフミノイマージンに差されて2着。うーん、まあ悪くはない。悪くはないんだけど・・・。

 


天皇賞

もうね、冷静に予想とかできないんですよ。「この馬の馬券を買いたい」という欲求に加えて、「もし買わなくて勝たれたら」と考えるともう震えが止まらない。

かと言って去年のような上り調子でもないし、フミノイマージンに負けてるし。他のメンバーも揃ってるし。


予想に集中するため、先に闇影さんの単勝だけ購入しておいた。当たるとは思えない馬券なのに、それを手元に置いておくと落ち着ける。保険のための単勝。そんな馬券の買い方あるんだな。

中団からあまり勝負には参加できず、流れ込むような形で4着。予想通りというか、残念ではあるけれどホッとしたというか、なんというか。

 

ジャパンカップデムーロで4着、有馬記念はムーアで6着。なんとも堀厩舎らしい起用だが、勝ち負けまではやっぱり遠い。

とは言え、後から戦績を眺めてみると、年間未勝利ながら好走は続けているんだよね。この年だけで1億以上稼いでるし。まったく馬主孝行な馬だ。

 

もうG1は遠くなったけれど

 

翌年は得意の府中で走ったり、マイルを試したり、それでもあの頃の激しい邪気は感じられないまま、時は流れてさらに翌年、7歳の中山記念

冷たい小雨が振る中のパドックで、もう話題にもならなくなったダークシャドウが、栗毛の馬体を濡らして歩いている。

その姿をぼんやりと眺めていたら、この馬の馬券を買えるのもここが最後かもなぁ・・・なんてしんみりした気持ちになってきて、つい単複を買ってしまった。

そんな感情から馬券を買うなんて、自分でも驚いたよ。券売機に吸い込まれた野口英世もびっくりしていたと思う。闇影──ダークシャドウ──の瘴気に当てられたのかもしれないね。

レースでは見せ場なく惨敗。そろそろか。

 

と思ったら次のエプソムカップで3着に入る。その次の函館記念は2着。本当によく稼ぐ馬だ・・・。

その後数戦は掲示板にも乗れず、翌年のAJCCを最後に引退しました。

 

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写真は@soiree1215さん。画像は無断転載禁止ですからね。

 

ダークシャドウ 27戦5勝 ダークシャドウ | 競走馬データ - netkeiba.com

 

いやーいい馬だった。

重賞は2勝ながらそのへんのG1馬くらいには稼いでるんだから、要するにG1勝ったようなもんでしょ。そういうことにしといて。

俺のほうは毎日王冠で勝ったぶんをきっちり天皇賞で溶かして、その翌年の天皇賞と雨の中山記念のぶんがマイナス。

それでも、俺もこの馬で勝ってるような気でいるのはなんなんだろうね。

 

今は元気に新潟で誘導馬やってるらしいです。

フッ・・・それが世界の選択か・・・

 

参考:邪気眼とは - はてなキーワード

 

 

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