母父トニービン

明るいところで読んでね

1000文字

 近いうちに上野動物園のパンダの赤ちゃんが公開されるらしいんだけれど大混雑が見えているので観覧は抽選になるらしくてその応募をするサイトに大量のアクセスが集中して繋がらなくなってしまったという話を知った人みんなが口を揃えてやっぱりみんなパンダの赤ちゃん見たいんだねと言うんだけれどみんながみんなそう言うということは実際には誰もパンダを見たがっていないのではないかという終わりのない疑心暗鬼から抜け出せずにいるのでえっ普通見たいでしょ何言ってんのあなたおかしいよパンダだよパンダみんな興味シャンシャンのパンダだよってやかましいわと言ってくれる人にいつか出会えるはずだという希望を持って生きていこうと誓い日々を過ごす中で先日動物園に行ったら動物がたくさんいたので動物がたくさんいるなーと思いながらたくさんの動物を見て回っていたらキリンや虎や熊なんかの四肢で歩く動物のほとんどみんなが歩き始めの脚の運びが後脚から始まるのでみんな馬と同じなんだなーと思うと同時にそんなことに気付く俺はどんだけ馬ばっかり見てるんだよでも他の生き物を眺めてると馬が美しいって言われるのも確かによくわかる馬ばっかり見てるとなかなか気付かないもんだな綺麗な嫁さんもらった人もこんな気持ちかなって話が逸れたけれどやっぱりみんな親戚なんだろうなと思って家で試しに手足をついて歩いてみたらやっばり手よりも脚が自然と先に動くんだけど赤ん坊のはいはいは膝をつくので事情が変わるみたいでもラクダだけは前後の脚が同時に動き始めるので気味が悪くて長く見てられなくてあとこれも馬ばっかり見てるからだろうと思うんだけれど所謂偶蹄目の蹄にもちょっとした違和感どころか若干の嫌悪に近い感情さえ覚えたりするのがなんとも不思議なわけでそうは言っても雄鹿の角は実際に見るとすごく立派で格好良いどころか近づき難ささえあってちょっとした畏怖くらいしちゃいそうになるので古代とかで信仰の対象になったりするのもよくわかるそりゃあ金持ちも家に飾るよねえと思ってあーそうそう違和感といえばダチョウって体の大きさは我々にだいぶ近いけれどやっぱり鳥は鳥みたいで地面の餌をついばんだり顔を上げたりする時の首の動きや歩く時の脚の動かし方が我々とは全く異質なのでこいつは俺の親戚じゃないんだなとはっきり感じてあのー親近感の対義語が今ちょっと出てこないんだけれど晩秋の紅葉もきれいだった。