母父トニービン

明るいところで読んでね

ベッラレジーナの話します

 

じゃあベッラレジーナの話するからよろしくね。

 

 

まず母親のベッラレイアですよ。太字です。

あのオークスは本当に美しかった。秋山の積極的な仕掛けから最後わずかに差されて2着に負けたんだけど、素晴らしい競馬をしたと俺には思えた。

それでも秋は武豊に乗り替わりになっちゃったんだよね。あの秋華賞の騎乗には怒り狂ったもんだった。オークスとは真逆の、ずっと後方で溜める作戦。4コーナーで絶望した。

まあ今思うとあの乗り方もね、ローズSで末脚や相手がどんなものか様子を見た上での、強い相手を負かすための勝負の騎乗だったのかもしれないよな。

古馬になってからはまた秋山に手が戻る。確勝と思えたレースに限って雨が降っちゃったり、その後も毎回のように人気はするんだけれどなーんか勝てそうな気がしない。

 

 

結局オークスから勝てずに繁殖入りして、初仔は父親ネオユニヴァースだった。

当然のようにチェックはしていて、へぇー名前決まったんだー、ベッラレジーナかー、しっかり母親の名前を受け継いでるじゃないっすか、なんて思ってデビューを待ちわびるわけ。

 

馬主が誰とかそういうの全く気にしてなくて、新馬戦を見たら勝負服がシルクだったからテレビの前でひっくり返ったわ。ちょうどここかその上あたりの世代で社台とくっついてシルクの冠名を外したところだったから、あの名前でまさかシルクの服着てるとは夢にも思わなかった。

その新馬は秋山が乗って、人気だったけど包まれてうまくいかなかったんだよなぁ確か。というか俺は「シルクの勝負服=冠名の馬」って感覚が染み付いていたから、あれ?どこにいるの?今実況で呼ばれたけど?あれ?って混乱しっぱなしだった。

 

3戦目に福永で未勝利戦をやっと勝ち上がったと思ったら、次は藤岡康太オークストライアルのスイートピーSに使うらしい。ずいぶん攻めた使い方だねぇ。

いやーさすがに厳しいでしょ、と言いつつも、ちょうどゴールデンウイークだったので友達を連れて見に行った。

 

直線はいい脚で外から突っ込んできて、一瞬勝つかとも思えたけれど2着。思わず「うわぁーベッラレジーナすごい脚ぃー」って実況しちゃった。横にいた友達には無視された。

しかし本当に来るとは思わなかった。見に行ってよかった。

 

そう。1勝馬だけどこれでオークス出られるの。

 

本番でもあの脚が使えれば・・・

いやさすがにG1でそこまではねぇ・・・

いやいやわからんよ3歳牝馬のレースは・・・

3着とかなら・・・

父、母、母父、みんなこの時期の東京2400mで好走してるし・・・

 

ひとりで盛り上がったり冷静になったり母親の時のオークス見たり母の父ナリタトップロードの時のダービー見たりして過ごした結果、もう当日は走るのを優しく見守るようなテンションになっていた。

 

レースは普通に惨敗。それが普通だ、相手すっげ強えもん。結果が何着だったか全然覚えてない。

でもベッラレジーナがオークスを走ったという事実と、それを楽しみにして過ごした時間があったことと、テレビの実況がとにかくひどかったという悲しみと、1枠1番の白い帽子と水色の勝負服が緑の芝によく映えた記憶は残っている。

 

 

次は自己条件からだな、まあすぐに勝ち上がるでしょう、オウオウこちとらG1帰りよ、なんて強気に考えていたらそれが全然うまくいかないのよ。

まず、なかなか復帰しない。夏を越し秋も去った暮れにようやくレースを使って、人気はするけど勝てない。

 

何度か使ううちに成績が上向いてきて、さぁそろそろ勝つぞいと思ったら調子出なくなって1年近く休んじゃったり、騎手の進言で1200m使ったらなかなか悪くない競馬して、よーしこれならいい加減近いうちに、こっからこっから!と希望は見えてもなっかなか勝てない。

 

 

同じシルクからデビューしたひとつ下の妹のベッライリスは、父親ディープインパクトに替わって(クラブ募集額は姉の1.5倍以上)、新馬戦はなかなかの末脚を繰り出して2着。これはもう次にでも勝ち上がれると思った。その先も・・・なんて思っていた。

でもとにかく体が小さい馬でね。結局5戦して一度も勝てなかった。

 

 

そうこうしているうちに2017年、ベッラレジーナはもう6歳。クラブの規約で引退と定められている、6歳3月の期限が目前に迫っている。

 

久し振りに中距離を使うことになって、2月の小倉1800m戦。前走に続いて、騎手は平田厩舎所属の藤懸。勝っても負けてもここで引退だろうな、そう思って家でBSイレブンの中継を見ていた。

あれ?そろそろレースの時間なのにそういえば全然小倉の話が出ないけど・・・あれ?小倉の中継やらないのかよ!うわー!下手こいたー!

慌ててネットで探してラジオの実況だけは聞けた。5着らしい。そうかー。頑張ったな。お疲れさん。

 

 

と思ったらもう一回、中京で使うんだって。やった!次は絶対見よう!

でもねー。引退前にもう一走ってことになるとさぁ、とにかく無事に終わってねもう無事ならそれでいいよ頼むよ頼むよって思ってしまう。

 

でも競走馬ってのはそもそもレース使うことが毎回リスクなんだよな。そこへ向けての調教からリスクはあるし、危険だとか言ってたらやってられん。

母ちゃんの同期のウオッカだってさぁ、5歳でジャパンカップ勝って、鼻出血の影響で有馬記念は出られないってことになった時に「あぁこれで引退だろうなぁ、お疲れさん」って俺が思ってたところから翌年にドバイ行ったんだよ。2戦する予定だったのが、1戦してまた鼻出血があったから引退になったけれど。

もしドバイで走って何かあったら、オーナーと調教師がどれだけ批判されてたかって。それでも行ったんだよ。もう充分頑張ったよ・・・ってところからさらに挑戦したんだよ。

だから、使える状態なら使ったほうがいいに決まってるんだよ、結果がどうあっても。

 

 

ベッラレジーナ最後の鞍上は、オークスでも乗った藤岡康になった。

ロスなく内々を回ったけれど直線は全く伸びず、惨敗だった。お疲れさま。

 

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オークスの4コーナー、写真はちどりさん(@eyes_of_plover)。

隣を走っているニシノアカツキは、このレースの後に怪我して引退しちゃったんだよね。

 

ベッラレジーナ 16戦1勝 ベッラレジーナ | 競走馬データ - netkeiba.com

ベッライリス 5戦0勝 ベッライリス | 競走馬データ - netkeiba.com

 

6歳にして16戦ってところに陣営の苦労が見えるよね。そんなに事細かくは知らんけどさ。

俺は一口クラブ馬主の経験はないけど、ひとつレースを勝つってのがこんなに大変なものかということを知ったよ。

この馬のnetkeibaの掲示板はいつも陣営への文句や愚痴で埋まっていた。もっと走るはずだった、もっと勝てるはずだった、俺もそういう思いはどこかにある。

出資してる人が厩舎を責めたくなる気持ちもわからなくはないよ。

 

 

でも、この馬がオークスで走るところを見られて本当によかった。

3戦目での勝ちあがりが4月、そこからスイートピーSで2着、さらにオークス出走なんて、いくら母親のことがあるとはいえ、嬉しいけれどそんなに背伸びして使っていいことあるのかなぁ・・・という思いも当時は全くないわけじゃなかった。

でも使ってくれてよかった。G1ってのはやっぱり特別なレースなんだな。クラシックなら尚更だ。

捨てるタイミングを失ったオークス単勝馬券がまだ財布に入ってるんだけど、どうするよこれ。

 

 

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