母父トニービン

明るいところで読んでね

キタサンブラックの話します

 

はーいキタサンブラックの話をします。あんまりこの馬のファンの目線から語ってるような部分はないです。

 

しかしねえ、あんなにド派手な追い込みだったブラックタイドスプリングSは最初で最後の重賞勝利になって、その息子があんなに地味に勝ったスプリングSからあれほど強くなっちゃうとはね。競馬はわからん。

 

 

2015年

 

 

最初に知ったのはやっぱりスプリングSだったかなー。

あらーサブちゃんの馬が勝った。重賞で名前を見かけることすら珍しいのに、勝つなんていつ以来だろう。キタサンヒボタンかな?そうなら須貝が現役の頃だからだいぶ前だよな。キタサンヒボタンだって怪我がなけりゃあG1でもわからなかったんだけどねぇ。

 

キタサンブラックも3連勝中とはいえちょっとG1じゃあ家賃が高いかなって感じもあったけど、皐月賞では先行力を活かして3着。

しかし次のダービーは惨敗して、夏は休養。

 

セントライト記念も人気なし。でも勝つ。あーそう頑張るねぇ。もしかしてトライアルホースってやつかな?まあ血統的に菊花賞って感じでもないし、相手が揃ったら実際厳しそうではある。

この馬が引退する直前にやっていたテレビ番組の取材で、清水調教師が「3歳の夏を越して、馬が大きく変わった」って語ってたんだよね。そういうのレースの前に教えてくれよなー。

 

菊花賞の日は東京競馬場にいた。

ああ、この馬、初めての関西遠征なんだ。尚更買いづらい・・・ってあれ?関西馬なの?あー、トウケイヘイローのとこの厩舎なんだ。ここまで全部東京と中山で走ってるから、逆に今までが全部遠征だったのか。変なの。

しかも勝っちゃったよ。母父サクラバクシンオーが。あららー。リアルスティール共々、真っ先に切った2頭で決まったから頭クラクラした。

でも北村がクラシックを勝ったことが素直に嬉しかったのでニコニコしていた。よかったなー。よくよくリプレイを見てみれば、レースの途中から前がごちゃごちゃし始めたところでもじっと待って、内を突いた好騎乗だったんだね。

 

あーあ、最終やるか・・・と思って新聞を眺めていたら、ターフビジョンの向こうではサブちゃんが嬉しそうに『まつり』を歌っている。インタビューもなんか若干すべり気味だし、なんだかなぁ。競馬場でそういうのは・・・まあまあ、いいか。何十年も馬主を続けてきてついにG1勝ったんだし、たまにはね。

仲間がレース後に「この馬さぁ、ダービー以外はまともに負けてないんだよね」って言ってた。だからそういうのはレースの前に言ってくれよ。お前、レース前はスワンSなら買えるけどねって笑ってたくせに。この野郎。

 

有馬記念は北村が怪我で乗れず、横山典に乗り替わり。

ゴールドアクターサウンズオブアースで決まって、名前だけ見るとなんか日経賞みたいだな。その3着にこの馬ってのも妙にしっくりくる。

 

 

2016年

 

 

翌年からは主戦が武豊に交替。

春の天皇賞で人気を分け合ったゴールドアクターは外枠を引いて、更に入れ込み気味でなーんか不安な感じ。一方のキタサンブラックは最内枠からゆったり逃げられる理想的な展開。

直線まですぐ後ろでじっとしていた大穴カレンミロティックがワンテンポ遅れて伸びてきて、めっちゃ鳥肌立ったよ。べつに俺はどっちも買ってなかったけど、こんな考えもしなかった大穴が突っ込んできたら鳥肌立つよそりゃ。これがあるから競馬は面白いよね。

一旦はカレンが前に出るものの、キタサンブラックが差し返してハナ差勝ち。なんだよー。まつり歌ってんじゃねえよー。もういいよそれー。

 

この頃になるともう職場なんかでも「北島三郎の馬ってぜんぜん血統が良い馬じゃないのにすごい勝ってるんでしょ?」と言われたりするようになってきていた。

俺はブラックタイド好きだったけど実際に産駒はそれほど走っていないので、それを否定したい気持ちはあってもしきれずに「いや、あのー、まあ、うん、そんな感じですね、そのうちもうひとつくらい勝つかもしれませんよ」と歯がゆい感じで返したりしていた。

ディープインパクトのお兄ちゃんだっつっても主な勝鞍スプリングSじゃあね、強気には出られないよね。

 

まあしかしブラックタイドもなんだかでかく見せる馬だった記憶があるけど、この馬もよく見るとでかいし黒いし雄雄しくて強そうになってきたな。

そんでまた武豊もここで勝たせるんだもんねぇ。さすがだわ。

 

次の宝塚記念ドゥラメンテが負けた上にゴール後に怪我したショックであんまり覚えてない。

いやしかしこのレースはとにかく蛯名がすげーわ。関東の牝馬で二冠馬と後の年度代表馬を負かすなんてね。

 

 

キタサンブラックのベストパフォーマンスっていうと、やっぱりこの秋のジャパンカップってことになるのかな。武豊もそんなこと言ってた気がする。

なんなの。いつの間にこんなに強くなっちゃったの。

あの古馬になって特に強かったテイエムオペラオーだって、皐月賞の末脚を見た野平祐二が「これは相当強い馬になる」って言ったらしいのに、この馬がここまで強くなるなんて3歳の春に予想できた人がどれくらいいるのかねえ。競馬はわからん。

俺も強い先行馬は割と好きになるほうなんだけど、強すぎると今度は誰にも手がつけられなくなっちゃって、レースそのものがバトルじゃなくなるから見ていて楽しめないんだよなぁ。一時期のダイワスカーレットとかもそうだった。

 

なんて思っていたら次の有馬記念は母父トニービンサトノノブレスに外から絡まれて、サトノダイヤモンドとのコンビプレイ的な何かに敗れる。

いや別に俺もそういうの見たいわけじゃないけど、もうこれしかないよなー。それでなんとか届いたって感じだしなー。なんだかなぁ。サブちゃん負けたのにまーたまつり歌ってるよ。何でもありかよ。

 

 

2017年

 

 

翌年はG1に昇格した大阪杯をさらっと勝って、次の天皇賞もきっちり内枠を引いて勝利。

 

一行でG1レースを2勝するんじゃないよまったく。カンパニーの気持ち考えたことあんのかよ。

いやーしかし大阪杯なんてほんとうにさらっとG1をもっていったって感じあるし、天皇賞は3.12.5の大レコードだよ。どこまで強くなるんだ、海外遠征なら応援できるからもう勘弁してくれ。

 

なんて思ってたら宝塚記念は突然の惨敗で凱旋門賞を断念。なんやねん。

確かになんとなく走りのリズムが良くなかったようにも見えたし、いいところでサトノクラウンがつついてきたし、馬場も影響したのかな。

それにしても負けすぎてて全く意味がわからん。買ってたシュヴァルグランがいきなり逃げた意味も全くわからん。

 

残りの国内3戦で引退と決まって、秋の天皇賞

競走馬って急に調子を落とすことがあるじゃない。宝塚記念のあの負け方に加えて、2週連続の台風によるこの不良馬場ならまともな競馬にならないかもしれない。初G1の菊花賞からまる2年、そろそろ衰えが出てきたっておかしくない。

単勝オッズも宝塚記念の1.4倍から今回は3.1倍とそれなりに上がってるあたり、みんなも似たような雰囲気を感じてるんだろう。

 

なんて思ってたところに、スタートで開く直前のゲートに鼻面をぶつけて出遅れ。これは・・・!!さーてどんな大穴が突っ込んで来るのかな、と思って見ていたら中団にいたキタサンブラックは3~4コーナーで内を回って、直線で抜け出して余裕のある勝利。

すげー。これはすげー。なんか3コーナー前後でバグみたいな挙動があったけど、あれが武豊の神業なのか。俺はこの天皇賞がベストレースだなぁ。これは本当に凄い馬だと思った。

だってさ、もうさ、東京2400mで楽々逃げ切って、春の天皇賞を3分12秒台で勝って、今度は秋を2分8秒台で差して勝つなんてもう何でもアリじゃん。はい、何でもアリですこの馬。もうダートでアロゲートと走ってみてくれ。

 

次のジャパンカップを勝てば史上初のG1・8勝目も見えたけど、別路線からのシュヴァルグランレイデオロに直線で捕まって3着。

天皇賞の疲れがあったのかとも言われたけれど後ろの4着馬とはだいぶ離れてるし、負けたにしても崩れてはいない。

 

 

この馬の引退が近づくにつれて、テレビやスポーツニュースでの特集もかなり増えて、北島三郎武豊もいろんな番組に引っ張りだこになっていた。俺もけっこう見たなぁ。

もう何て言うか、キタサンブラックって馬は好き嫌いや強い弱いを超えて、文化を形成してるよね。みんなが知ってる馬になって、競馬界を盛り上げている。そんなことに今更気付いた。俺は一体何と戦っていたんだ。

それに、なんだかんだ武豊が競馬の中心に戻ってきていることが嬉しい。やっぱり武豊はこうでないとね。競馬界の顔は武豊だよ。うん。

 

まあそう言いながら有馬記念でも買いませんけど。買っても面白くないもん。サウンズオブアース買ったほうが楽しいもん。ガハハ。

思ったとおり、レースも俺が面白いと感じるものにはならなかった。あの枠引いて好きにレースさせたらそら勝つでしょうよ。何も言うことねえよ。でもまあ、いいでしょ。世の中が喜んでんだから。

賞金王でもいいよ。いい加減テイエムオペラオーの数字を超える馬が出てこないとね。「そりゃあ今の方があの頃よりも賞金が高いもの」と俺は意地を張るけどね。

結局一度も海外遠征しなかったけどいいよ。あの北島三郎がそう決めたんだから。結果的にあの天皇賞が見られたし。何回まつり歌ってもいいよ。そういう価値のある馬だ。

そういう気分にさせられる、引退レースだった。

 

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キタサンブラック 20戦12勝 キタサンブラック | 競走馬データ - netkeiba.com

 

このフレーズには参っちゃうよね。なんていいポスターなんだ。

 

有馬記念の数日後に、別の芸能人の所有馬が大井で同じように引退レースのG1を逃げ切って勝った。年末年始に会った友人達は誰一人そのことを知らなかった。「へぇ~、あの人も馬持ってるんだー」なんて。大魔神佐々木が馬を持ってるのは有名なのに、あの人は何で話題にならないんだろうね。

 

ところで、この馬の場合は「キタサンブラック」という競走馬としてコテコテの名前なのが良かったよね。オルフェーヴルとかシュヴァルグランだとこれほど一般には広まらなかったんじゃないかと思う。

オグリキャップナリタブライアン、そういう馬名も文化なのかもしれない。

 

 

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