俺がボカロ聴き始めたのは2010年の秋頃で、マトリョシカやモザイクロールなんかが流行っていた。らしい。俺はハロ/ハワユからそろっと入ったのでシーンの最先端など知る由もなかった。
どこかの動画で「今年のボカロはハチ、DECO*27、wowakaの三強だね」といったコメントが流れてくるのを見て、へぇーそうなのかーとそれを素直に信用していた。その頃にはもうsupercellのryoはメジャーデビューしていたのかな。
今スマホで「でこにーな」から変換できてびっくりしてるんだけどそれは置いておいて、当時ハチはまだ10代だっていうし、wowakaも20歳だとかって聞いた。どこからそんな情報が出回るのか、今思うと謎だ。
ハチは有名になるべくしてなったと思えるけど、もしかしたらwowakaはボカロがなかったら世に出ていなかった人なのかもしれない、と勝手に思っている。この人の発想をDTM・ボーカロイドの歌以外の組み合わせできっちり表現できたとはちょっと考え難い。
ハチも「『ボカロっぽい』という感覚を最初に定着させたのはwowakaだと思う」というようなことを言っていた。曲も詞も歌も絵も無機質ならもうwowakaの字面さえもなんとなく無機質に見えてくる。そういえば知ったばかりの頃は女の人なのだろうかと思っていた。
ボカロ曲といえば歌ってみた動画がつきもので、好きな人はそういう動画を巡って様々な人の歌声でひとつの楽曲を長く楽しめたりもする。俺もボカロの曲を聞き始めた頃はまだあの機械的な声質に馴染めなくて、歌ってみた動画を探して聴いていた。
でもどういうわけかwowakaの曲だけはボカロ歌唱以外受け付けなかった。例えばローリンガールのサビ「もう一回、もう一回」は文言だけ見ると人間が歌ってこそだろうと思えるけれど全くそうではなく、逆に人間の体温が混ざると曲の雰囲気が損なわれてしまうような感触さえあって、いつも原曲を聴いていた。あぁ、だからヒトリエは聴かなかったのかもしれないな。
ミクの無機質な声から、突然wowaka本人になったボーカルは僕には受け入れ難いものだった。それに、ネットの世界の、言うなれば2次元の様な存在だったwowakaが現実に飛び立つのが嫌だったのかもしれない。
ライブを見た。相変わらず声は余り好きじゃない。ただ、ネットの世界から飛び出して、ネット時代の曲をかき鳴らすwowakaはとてつもなくカッコ良かった。
ボカロを一番よく聴いていた頃は今思うといろいろと上手くいかなかった時期で、現状が「おかげさまで今はいろいろ上手くいっています」と全て好転したわけでもないのだけれど、今振り返るとやっぱりあの頃は特にそうだった。
たまたま見かけてたまたまのめり込んでいった沢山のボカロ曲を聴いて、当時の俺は何かに浸っていた。例えば一人で洋楽を聴いて優越感に浸る10代と似た感覚で、どうやらオタク寄りらしいコンテンツを聴いて、20代の俺は狭い世界の内側で何かに浸っていたんだよ。
あぁちょっと泣きそうになってきた。バンド活動に移ってからは全く追いかけていなかったけれど、「あいつ、まだやってんだなぁ」と心のどこかでほっとすることも、もうないんだな。
泣きそうといえば、昨日のカープはマツダスタジアムでヤクルト相手に1-3から追いついてそのまま延長に入ったら中崎と中田が打たれて12点取られた。
先頭打者のヒットの後に松山のエラーがあって、菊池もエラー2つ、相手のバント失敗もあったのにそこから延々とヒットを打たれ続けて、中田は下手すりゃ野球人生壊れかねないだろうというほどだった。
四球と死球ひとつずつで12失点なんて信じられるかおい。実際に見てたのに今も信じられないよ。野球はどんなに殴られたところで試合を止めてくれるレフェリーはいないし、かと言ってそこからブルペンのピッチャーにまた肩を作らせるはずもない。これが今シーズンのハイライトにならないように願うばかりだ。
あー先に風呂入っときゃよかったなんて思いながら途中までダラダラ見てたけど、何点か取られたところでこれはちゃんと見なきゃなと思ってテレビに正対して、裏の三者凡退まで全部見た。しかしもう何も覚えていない。
今日は今日で岡田が初回に2失点して2回には1アウトも取れずに4者連続四球で降板、合わせて自責点6だってよ。そしてマツダで3タコ喰らったこのタイミングで、明日から横浜スタジアムだ。泣きたい。泣きたい時に笑いたいの。そんなわがまま疲れちゃうわ!