地下鉄に乗って普段あまり行かない駅で降りて、外に出たらほとんど日が暮れていた。反対側に歩こうと振り返ったらまだ明るくて夕焼けが出ていた。それを見て、無限だなーと思った。べつに主語とかはない。
バス停のベンチに腰掛けて夕焼けを眺めながら、もう本とかスマホとか鞄とかなんにもいらないと思った。風が吹く中でただそれを眺めているこの感じだけでいい。もう別にバスとか来なくてもいい。ほんの15分かそこらだと思うけど、なんか印象に残る時間だった。
まあ建物があったせいで、沈みゆく太陽も見えなければ夕焼けの面積のうち7割は隠れてたんだけどね。建物の向こうに存在するであろう太陽を見ていたわけでもなく、隙間から夕焼けを見ていたわけでもなかった。夕焼け空を通して今日という一日が暮れてゆく様を見ていたような気がする。
べつに綺麗だなーとも思わなかったな。そこに神を見たとか、有名な絵画が浮かんだとか、好きだった歌を口ずさんだとか、何もなかった。でもなんか見ていようという意思のようなものがあった。暗くなっても夕焼けを覚えているって初めてかもしれないな。
ちょうど暗くなったくらいにロータリーにバスが入ってきた。
今は上弦だか下弦だか知らんけど半月が出てる。