母父トニービン

明るいところで読んでね

よろしくどうぞ

「失ったすべてが戻ります」という題名の迷惑メールが届いた。

 なんか小説みたいな書き出しになったけど、それを見て、今まで俺は何を失ってきたんだろうか……とか遠い目になっちゃったよ。

 失うっつったって、「持っていたものを失う」と「チャンスを逃して失う」と「熟考の結果、優先順位は低いと見なして手を出さずに失う」のとでまた違うし。

 また失ったすべてが戻ってきてもそれはそれで困るんだよなぁ。失ったもの達を愛でて、そんでその後どうすんだよ。心の中にしまってあるものを勝手に取り出されたら、もう現実には立ち向かえなくなっちゃうよ。失った結果が現実なんだから。

 トゥザヴィクトリーがいきなり今年のエリザベス女王杯に出てきても実際には困るのよね。そういう意味で、JRAがたまにやる過去の名馬を並べた出馬表みたいなのは本当に趣味が悪いと思う。

 

 

 「よろしくどうぞ」の挨拶でお馴染み、競馬トラックマン・競馬評論家の吉田均が亡くなったらしい。75歳だって。「トラックマン」がどういう存在なのかは全然わからん。運送屋でないことはわかる。

 俺にとって競馬解説者といえばあの人なんだよ。寂しいなぁ。本当にジェントルマンだった。予想を当てても謙遜しつつすぐに話を逸らしたりして、競馬関係者のいやらしさを微塵も感じない唯一無二の人だった。あのポジションの人がもっと下品だったら俺も毎週競馬中継を観ていたかわからない、とさえ思う。

 たまにマジで意味不明な穴馬を狙って、普通に外したりするのも面白かった。あとパドックでチャカついてる馬がいると、よく「もう少し落ち着いてもらいたい」って言ってたなぁ。特にエアシャカールにいつもそう言ってた記憶がある。

 あと中継の終わりに翌週のレースの出走予定馬の話になって、あの馬が楽しみだとかこの馬は前走が強かったとか吉田が語るのを聞くと、いつもワクワクした。今思うと声もダンディだったよなぁ。

 

 

 短編集を読んだ。短編集ってどこで終わるかわかんないからなんか読むテンションが難しいよね。朝の通勤中に読んで栞を挟んで、帰りにその続き読み始めてページめくったらいきなり終わっちゃう、みたいな。

 あっ、えっと……ってなる。続きから読む時って、物語の世界観にそろっと戻るのにいきなり終わるんだもん。CMの後もまだまだ続きます!かよ。

 YouTubeだって動画の長さが3分とか20分とか思ってるから見てられるわけで、時間表示がなかったら見てられないよなたぶん。

 テッド・チャンっていうアメリカ人のSFっぽい小説で、元々難しい設定の内容なのに一回翻訳かませてるから尚更理解が難しかった。翻訳者との合う合わないは重要だよね。俺は語順が英語寄りになると内容が入ってこなくなるっぽい。

 

 

 カープは今シーズンの最終戦を終えた。新井監督のファンへの挨拶がカミカミでよかった。新井が形式ばった言い回しをすらすら喋るほうが怖いもん。

 野村祐輔が引退セレモニーやってた。プロの登板が全部先発なんだって。すげー。全部先発、背番号はずっと19、ずっとあの顔、すごい。

 リーグ優勝した最初の年は勝ち運みたいなのがすごかったよなぁ。6回表0-3からその裏に代打出されても、そこから5点取って勝ち投手、みたいな。マエケンが抜けて、福井と野村どっちが行くのかなぁと思ってたら圧倒的に野村だった。

 最後に野村が球場を一周してファンに挨拶してる時に感傷的になってたら、やっぱり今年優勝できなかったことが悔しくてちょっと泣いてしまった。

 もう何も言わん。今年もありがとう、広島カープ