母父トニービン

明るいところで読んでね

映画好きと映画嫌いが一緒に映画を見たいい話

 

今年は秋が長い。 

 

11月という月。

 

これぞ11月という景色や雰囲気のある月だということに今年初めて気付いた。これは収穫。

 

日常の中でこれぞ○月、という雰囲気の景色があるのは他には5月くらいだろうか。

そんなに慌ててクリスマスソングを聴くこともないのではと思う。

 

もし慌てんぼうのサンタクロースがクリスマス前にやって来たら誰が責任を取るのか。

山下達郎に全ての責任を擦り付けるのか。それともマライア・キャリーか。そうやって犯人探しを続けるのか。そんな世の中で良いのか。俺はワムと稲垣潤一が好きだ。一番好きなのは慌てんぼうのサンタクロースだ。

 

 

高倉健が亡くなった。

 

 

その報を聞き、事実を重く受け止めている自分には少し意外だった。

 

"最後のスター"、そうだろうなぁ。

 

俺は映画をほとんど見ない人生を過ごしてきたので、健さんの映画を今までひとつも見ていない。

亡くなってからそのことに気付いた。

 

何か見ておきたい、と思ったので日曜夜に放送される「あなたへ」を見ることにした。

ふと、どうせ初めて見るのなら母と一緒に見るのも良いかもしれないな、と思った。

 

というのも、うちの母は60歳になった時に「よっしゃ今日からシニア料金」と喜ぶほど映画が大好きな人で、もちろん健さんが好きなのだ。

 

子供の頃は町の小さい映画館によく連れて行かれたが、母と一緒に映画を見るなんて俺が大人になってからは一度も無い。

子供の頃の映画館の印象というと、前の席の背中側から感じるほとんど拒絶に近い冷たさと、割高なのでコーラ一本買ってもらえない閉塞感。

 

俺が映画を見ないのは、もしかしたら母親が映画好きなのが遠因にあったのかもしれない。

 

 

 

「今日健さんやるから」

「えーっ」

 

小さい頃、「寅さんの日」と「健さんの日」は我が家のテレビのチャンネル権は母(と父)のもので、パソコンも携帯電話も無い時代、俺と弟はゲームボーイの取り合いになるのであった(勉強しろ)。

そこで健さんの存在の大きさを認識した部分もあったのかもしれない。

 

 

家に母親を招いて、二人で映画鑑賞。

 

少し雑談をしたり昔の健さんの話を聞きながら見たのだが、そのせいで肝心の内容がいまいち入ってこない。

健さんに被せて喋る母親。あんた何しに来たんだ。わざわざ呼んだ意味わかってんのか。

 

途中は「やっぱり一人で見ればよかったかな・・・」と若干後悔したのだが、久しぶりに映画を一本見終えた満足感と、母得意のりんごケーキと、なかなか帰ろうとしないオバハンによってその後悔は解けた。

 

 

少なくとも、親の趣味がわかっていると親孝行はしやすいらしい。

今度は父親をヤミテンのハネ満直撃でもしてやろうか、それとも千本ノックでいっちょ揉んでやろうか。