書き出しが音の情報から始まるのに、すぐ後の『私は機械が作った清潔な食べ物を整然と並べていく。』の一文でスッと音が全部消えてすごかった。
主人公が気味の悪い人間に感じられるところもあれば共感できるところもあったりして、「ただの変人やないか!」「ほな違うかー」ってミルクボーイの漫才みたいな気持ちになった。
後半に妹が泣き出しちゃうとことか、なんかもう妹のほうが頭おかしく見えてくるから面白いよね。「うわっ、泣いちゃったよ……こいつの思考回路イカれてるわ」って。
そんで最後のオチでヒェッってなった。星新一かよ。ハッピーエンドとも受け取れるのかなあれ。この本を読んだ全員が「これ、ハッピーエンドに受け取る人もいるんだろうなぁ……」と思ってそう。
あと「凹んでしまって店頭には出せなくなった缶飲料」を「ヘコ缶」って言うのがかわいかった。俺も仕事の関係でそんな感じのものを買うことがあるから親近感あった。
っていうかべつにバイトでもちゃんと働いて自活してるんなら「普通」の範疇と言えなくもないよなぁ。コンビニ店員の時はちゃんとビックリマークつけて喋ってるんだし。……なんて思えるのは小説の登場人物だからだろうか。主人公目線だからか?
とにかくあれだよ、あんな陽キャ達とバーベキューなんか行ったりするからそんなことになっちゃうんですよ。迂闊だなぁ。小説に出てくる陽キャ達は基本みんなデリカシーが全くない舞台装置なんだから。
そんでなんかこの主人公、ちょっとリトル・アリョーヒン思い出すんだよな。描かれ方は違うけど。
村田沙耶香って若手の作家なのかと勝手に思ってたら全然そうでもないんだね。本屋で短編集っぽいの見かけて、買ってきて開いたらエッセイだったからすげーがっかりしちゃった。
普段あんまり「これは時間の無駄ですね」とか考えない方だと思うんだけど、作家のエッセイ読むのだけは時間が勿体無いと思ってしまう。「ダースベイダー呼吸音 1時間耐久」みたいな動画のほうが圧倒的にタイムパフォーマンス高いと思う。
まあ読んだけど。文章力で読めちゃうのは読めちゃうんだよね。でも作家が日常の中で何を感じてどう生きてるかなんてマジで何の興味もない。「興味がない」とこんなに断言できることも珍しい。
どっかそのへん歩いてるしょうもないやつらの日常を文章にしたほうが読んでて絶対面白いでしょ。これ読んでるお前のほうが作家よりもコンテンツとしての魅力は高いよ絶対。お前の話し方がつまんないから価値を落としてるだけの話で。
あとオルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』読んだ。
面白かった。手塚治虫の『火の鳥』思い出した。この「〇〇を思い出す」とかいう感想なんなんだろうね。もし出会う順番が逆だったら逆を思い出すのかね。「マラドーナ見てるとメッシ思い出すわー」ってなるのかな。まあ今回はそれはないか。
お話の導入がすげーつまんなくてちょっと諦めかけたけど、その後の場面がコロコロ変わるとこが面白かった。熱中して読んでたらバス酔いした。
あとべつに誰も主人公じゃないのがすごくよかったなー。全体的にバカにしたニュアンスの文章なのもよかった。というかこの作品はそれがいいのか。
そんで作中に題名が出てくるのがまたテンション上がるんだわ。なんか「最強の伏線回収」って感じで好き。伏線回収自体はそんなに好きじゃないけど、題名が出てくるのは読んでて「うおお!」ってなる。
『風と共に去りぬ』とか『勝手にふるえてろ』とかね。まあその2例くらいしか思い浮かばないけど。
あと著者のオルダス・ハクスリーは教師だったらしくて、『1984』のジョージ・オーウェルに語学を教えたことがあるんだってさ。すげー話だな。
エリザベス女王杯はウインマリリンとライラックから馬連流したらその2頭の2着争いになった。
どっちが2着でも当たってたけど、直線で最後に大穴のライラックが突っ込んできて、差せ!!差せ!!!交わせ!!!うおおおおおお!!どっちだー!!と思ったら2着同着になって、両方当たりにはなったけどデカいほうの配当が半分になっちゃったよ。
なんだよそれ。せっかく久しぶりの大勝利だと思ったのに、こんな白黒つかないまま間を取って終了なんてがっかりだわ。思えば去年も本命のステラリアが4コーナーでアカイイトに思いっきり邪魔されて2着だったんだよなぁ。あほらし。
ついこの前までジェラルディーナに乗ってた騎手をバカにするやついるけど、福永は母親のジェンティルドンナもしっかりと沈めてるからな。年季が違うんだよ年季が。