母父トニービン

明るいところで読んでね

ハーツクライの話します

ハーツクライって最初はそこまで好きって感じでもなかったけど、いきなり強い馬になってびっくりしたよなぁ、というお話。

 

3歳

 

いきなりダービーからなんだけど。

この時はものすごい勝ちタイムが出て、勝ち馬を含めて出走した多くの馬が後に故障したり、しばらく調子を落としたりしたんだよね。まあ馬場との因果関係がどの程度なのかはわからんけどさ。

俺の本命コスモバルク皐月賞でのやや消極的な競馬とは打って変わって、めちゃくちゃ積極的に攻めて早々に沈んだ。馬が我慢できないのもあったのかもしれないけど、結果的に春はことごとく裏目に出てしまったんだよなぁ。残念だった。

外からハイアーゲームと並んで上がっていったキングカメハメハが他を競り落として、ずごーんと突き放したところに、遊びで枠連の軸で買ってたハーツクライが大外から2着に飛び込んできた。

橋口厩舎&横山典で2着なんてあったりしてねゲヘヘと思って買ってたんだよ。我ながらしょうもないことするよなぁ。あれは「当てた」ってより「当たった」って感じだったけど、そこそこ配当ついたから地味に嬉しかったんだよね。一緒にテレビ中継を見ていた友達はキングカメハメハハイアーゲーム馬連に厚く張って散った。

 

 

秋は武豊に手が替わって、菊花賞は1番人気。え?この馬が1番人気?急に?

まあハイアーゲームも前走負けてるし、コスモバルクが距離持つとは思えないし・・・って感じで押し出される形だったような気がする。京都で重賞を勝ってるのもあるか。

そんなんでまともに決まるわけもなく、人気になったダービー上位組は全部馬券にならずに、勝ったのはデルタブルースだった。

結局ハーツクライも7着に敗れて、続くジャパンカップ有馬記念も惨敗。

 

いやー好きなんだよね、この橋口厩舎の王道ローテ。ツルマルボーイザッツザプレンティハーツクライリーチザクラウンローズキングダムワンアンドオンリー、見込んだ馬には王道を走らせる。必ず使ってくるがゆえに、どこが買い時なのかよくわからないけど。

ということで、翌年も王道ローテーションを進みます。

 

古馬

 

大阪杯

同期のダービー馬キングカメハメハは故障で引退、地方所属のコスモバルク日経賞で負けたので次の天皇賞には出られない、ダイワメジャーはマイル路線へ、デルタブルースはちょっとお休み。

だからハーツクライ、お前がゼンノロブロイvsタップダンスシチーの2強に割り込んでいくんだよ!ということで、前年秋の負けには目を瞑って1着固定の馬単を買ったら2着だった。そういえばこのレースがきっかけになって、馬単ってまず買うことがなくなったなぁ。

しかしG2級の相手になんとか2着を確保、みたいな競馬はさすがにちょっと期待外れだわ。

 

 

春の天皇賞

どうやら長距離向きってこともないみたいだし、そもそも大阪杯で負けてんのにここでは買えませんよねぇ、と思ってたらもっと買えないスズカマンボビッグゴールドで決まって、わけのわからん荒れ方になった。俺の常識が全く通用しない・・・。

いやーしかし1年前に負かし続けたスズカマンボのほうが先にG1馬になるとは。若い頃にはどっこいどっこいだったハーツクライにもそのうちチャンス回ってくるといいけどねぇ。

 

 

宝塚記念

タップダンスシチーが3コーナーで前を早めに交わして敢然と先頭に立ち、よっしゃかかってこいよゼンノロブロイ!と思ったらパタッと止まっちゃうんだよ。あれ?っつって。

そしたら全くノーマークだったスイープトウショウが外から一気に抜け出して、また常識が通用しない・・・!と私の灰色の脳細胞が停止してたら、最後の最後にハーツクライが2着に飛び込んできてなんだかほっとした。

ああ、この2着だけは俺の常識の範囲内だ。この馬が2着だとなんとも言えない安心を感じられるんだよ。かわいい奴だ。秋も頑張ろうな。

 

 

秋は単騎免許のルメールに乗り替わって、ジャパンカップ

天皇賞ではスローの展開を許したタップダンスシチーが、今回は破茶滅茶なハイペースで逃げる。いつも通りに後方に構えたハーツクライは最後の最後に内から馬群を縫って一気に伸びてきた。うわマジか!とびびったけど惜しくもアルカセットにハナ差の2着だった。

まーた2着か。でもこれまではレースが決まったところに流れ込んでくる2着だったけど、今回はそれとは違う、勝ちまで見える2着だったような気がする。

あのダービーも好走したし、母父トニービンだからハイペースに強いのかな。それとも東京2400mが得意なのか?

まあ、なんにしてもあのダービーからやっと復調してきたのに、またこんなレコード決着で消耗しちゃって、ここで勝ち切れなかったのは残念だったわ。

もうお釣りもないだろうし、次は追い込みの効きにくい中山だし、なんたって相手が無敗の三冠馬ディープインパクトだからね。

 

 

有馬記念

競馬はわからん。俺はディープインパクトを見に中山競馬場に行っていて、ハーツクライが3番手で1周目のスタンド前を通過するのを見た。

この馬そんなこと出来んの?ルメールはすごいなぁ。とはいっても付け焼刃みたいなものでしょ、今まで追い込み一辺倒の馬がいきなりそんな、ねえ。(でももしかしたら3着はあるかもなー、買ってないんだよなー)

そうしたら今度はコスモバルクが早め先頭で4コーナーを回ってきて、うおー!バルクだー!と声を上げた。しかしこの時点でもまだディープがまとめて差し切るだろうと思っていて、頭の片隅で(あ、ハーツクライ3着あるかもなこれ、まずいな)とうっすら感じる程度だった。

そしたらなんかハーツクライが全然止まらないんですよ。いや話が違うよなんだよこれ違う違うだめだめだめだめ届かないいやいやいやいやおかしいおかしいおかしい嘘だろ嘘だろ届かないよこれやばいやばいマジかよマジかよマジかよ頼む頼む頼む頼む差せ差せ差せ差せ頼む頼む頼む。

手遅れだと気付き始めて「差せーっ!!」と叫んでいたけど、それはもうほとんど現実逃避だった。

 

ショックが大きかったので、レース後の雰囲気とかあんまり覚えてないなぁ。

なにこれ?今までの不器用な追い込みはなんだったの?よりによって何でこのタイミングなの?

友達にグチグチ言いながら、寒い中タップダンスシチーの引退式見て帰ってきた。

 

そしたらハーツクライがこの年の最優秀4歳上牡馬だって。じゃあ大阪杯くらい勝てよなお前。

まあこの年のG1勝ち馬を眺めた感じ、仮にディープインパクト有馬記念勝ってたとしらハットトリックが受賞してたっぽいので順当ではあるんだね。

 

とりあえず、次のレースだよ。次のハーツクライの競馬を見てみないと何とも言えない。また大阪杯なら人気するだろうな、ってドバイ行くんかーい。すごいことになってきた。

 

なんか覚醒したんですけど

 

ドバイシーマクラシック

俺どっちかっていうと同じ橋口厩舎のユートピアの方が好きだったのよね。ハーツクライと一緒にドバイに遠征してて、レースも生中継で見たわけじゃないんだけど、ゴドルフィンマイルユートピアが勝ったのは本当に嬉しかった。

ハーツクライのほうは、逃げ切りでウィジャボードぶっちぎったとかって知ってなんかポカーンとしちゃった。どういう流れの逃げからどう逃げ切ったのか全く想像がつかない。

っていうかあのハーツクライがこんなに強くなっちゃって、なんかリアクションできないよ。アッガイが宇宙でガンダムをボッコボコにしてたらびっくりするでしょ。

 

当時プレステの『ジーワンジョッキー4』をよくやっていて、この馬の脚質どうエディットすりゃいいんだよって本当に困ったもんだった。逃A先B差C追Aみたいな。

そうなると自在脚質ってのに分類されちゃって、いやいや自在って言葉からはほど遠い馬なんですけど・・・っつって。スズカマンボスズカマンボで距離適性(2000m~3200m)みたいに幅広くなっちゃうし。

 

 

キングジョージVI&クイーンエリザベスS。

まさか1年前にはスイープトウショウのケツ追っかけてたハーツクライが、こんなところに挑戦するとは夢にも思ってなかったよ。いや挑戦ではない。「海外"挑戦"でなく、海外"遠征"と表現しようよ」と橋口調教師が言っていた。

この馬だって、ディープインパクト負かして、ウィジャボード負かして、もうどこの誰にも胸を借りる立場じゃないんだよな。充分な勝算があっての遠征だよ。ゆけっ!ハーツクライ

レースは内のハリケーンランを封じながら直線でエレクトロキューショニストを交わして、ウオ大おおおおおおおおおおおおおおおおってなったけど最後は両馬に差し返されて3着だった。

すごい!すごいけど、惜しい!もうちょっとだったのに!・・・でも頑張った!大したもんだ!という感じ。ハーツクライが一番強い競馬をしたようにも思えるけれど、それでも地力で上回ったのはハリケーンランだった。

 

最近はドバイに7~8頭くらい遠征して誰も勝てずに帰ってくると批判の目が向いたりもするけど、この時のハーツクライはなんというか、勲章は手に入らなくても名誉には与った、みたいなところもあったよね。

特にこの時は少し後にディープインパクト凱旋門賞に出走する予定があったから、この馬の好走が夢を繋いだというか、計算が立ったというか、やれる!という雰囲気にした部分もかなりあったよね。

 

 

ジャパンカップ

凱旋門賞から帰って来たディープインパクトとの再戦。でもまあハーツクライが一回負かしてはいるとはいえ、この年の春の天皇賞を見たらさすがにディープに敵う馬なんていないと思っちゃうよ。

それと、たしかこの時ハーツクライはあんまり調子良くないみたいな話をどっかで見たんだよなぁ。Wikipedia見たらレース前に橋口調教師がノド鳴りを公表してたんだって。

それでも2番人気で単勝5.8倍。ディープインパクトの2番人気はほとんど10倍超えちゃうから、G1でここまで人気で迫ったのってこの時のハーツクライがたぶん一番なんだよね。

 

でも、結局ハーツクライは大敗して、そのまま引退が決まった。

 

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イラストはぽちこさんより。

 

ハーツクライ 19戦5勝(2着4回) ハーツクライ | 競走馬データ - netkeiba.com

 

俺の中では今でも2着のイメージが強いんだよなぁ。今回振り返りながら書いてみて、あぁそういや強かったんだよなあの馬、と思い出した。

 

この馬の代表産駒とも言えるジャスタウェイは2着続きから4歳秋に天皇賞でいきなり圧勝して、翌年ドバイでも勝って、そのへんは父親に似たのかね。ヒーロー列伝の写真も同じ構図で作られてるし。

あとG1で2着がやたら多いよね。ウインバリアシオンヌーヴォレコルトカレンミロティックリスグラシューとか、他にもいろいろ。そんなのも遺伝するの?血ってのは本当に不思議だ。

 

しかしこの世代は、キングカメハメハハーツクライダイワメジャー、3頭もリーディングサイアーの上位にいるなんてすごいね。スズカマンボメイショウボーラーもG1馬出してるし、あーブラックタイドもこの世代か。すごいね。カンパニーもがんばれ。

 

kwchn.hatenablog.com

エエカゲンニセイジ

大井競馬場に行ってきたぞい。

たまには地方競馬に付き合えよって友達が言うから、えーとじゃあこの日ならいいよってことで今日に決めたのよ。そしたら数日前になって、どうやら8/28は「的場文男デー」だということを知った。1日のレース名が全部「的場ハンパないって賞」とか「大井の帝王賞」とかそんなんなの。

俺は地方競馬は年間でもそんなにやらないし、元々イベントの開催すら知らなかったくらいだから、的場文男っていってもそんなに思い出はないんだよね。「ケイアイレオーネでもうだめかと思ったところからソルテの2着に突っ込んできてくれてありがとう!」と「内からボンネが来たぞーぅぃ!」くらい。

たまに買うと来ないし。今日も結果的に相手でしか買わなかった。でも俺が競馬始めて間もない頃に、友達から「船橋石崎隆之、大井の的場文男南関東はこの二人だね」って教わったのは覚えてる。すでに当時もう大井の帝王だった気がするんですけど。

 

なんか競馬場内には的場文男の勝負服Tシャツを着てる人が異常なほどいっぱいいた。愛の深いファンが多いんだなー。と思ってたら帰りにスマホいじってて知ったんだけど、新記録になった7152勝にかけて先着順にTシャツを7152枚配ったんだってね。最後の10人とかってサイズ大丈夫だったのかな。

そうなると運営側もすごいわ。なんつーか、そりゃあ人を呼べるコンテンツなのはよくわかるよ。そう何回もやれるネタでもない。でも的場たった一人のために競馬場をあげてのイベントなんて、やるほうも大したもんだよ。

馬券のデザインも的場仕様になってんの。ここまで徹底してやりまっせ、という姿勢そのものがファンサービスになってるし、ファンが喜ぶツボみたいなものがもう全部わかってんのかね。そんでまた的場の単勝が本当によく売れてるんだわこれが。

まああの佐々木竹見の記録を更新したんだから、そりゃもちろんそれだけの価値はある記録と人物だよ。でも実際にこれをやるのはやっぱりすごいと思う。企画部が有能なのかな。スタンドや植木のライトアップとかも全部真っ赤だったもん。国道沿いのちょっと凝ったゲームセンターかよ。

 

なんだっけ、9レースだったかな、1800mかなんかのちょうどスタンド前発走のレースで、ゲート入りの途中で的場の馬だけ前に飛び出しちゃって、場内が和やかにワッハッハッハってなって面白かった。おいおいどんだけファンサービスするんだーなんつって。

そしたらレースではスタートで出遅れて、テレビ番組で後から音声を足したかのようなめっちゃめちゃベタな「あーあ・・・」が場内から聞こえた。直線で内から伸びてきた赤い勝負服を見て、「おいおいあの出遅れから持ってきたぞマジかよ」と思ったけどそれは全然別の騎手だった。

 

メインレースの前にその新記録の表彰式があって、まあそれも10レースが写真判定になってそのままゴール付近でうわぁーって悔しがってたらなんか人が集まりだして気付いたんだけど、客がほとんどみんなあの勝負服のTシャツ着ててすごかった。あれ首にタオル巻いてたらもう夏フェスかアイドルのコンサートだよな。友達がめっちゃ写真撮ってた。俺も撮った。

式には品川区長とか出生地の福岡県なんとか市の市長とかそういう偉いさんが結構多く来てて、しかも全員がYシャツの上から的場Tシャツ着てて、こういう人達が集まっちゃうような偉大な記録なんだよなーとまた違う角度からすごさを感じた。なんか競馬の記録って一般的に見てどれだけの価値なのかってよくわかんない時あるじゃん。

そのホワイトカラー上層部勢のスピーチが続く中で、的場文男の「還暦まで競馬だけやってきたおじさん感」がすんげえ際立ってんのよ。いや実際にどういう人なのかまで事細かには知らないけど、なんか嬉しいんだよそういうの。インタビューもなんか慌てちゃってんのかなんなのか、早口気味でなんとなくしかわかんねえの。

的場文男のそういう姿を見て、あぁ、こういう昭和な雰囲気を感じさせる人もこれから一気に減っていくんだろうなーと思った。こういうの見られるのって、競馬界以外の場でももうかなり貴重になってきてるよね。ゴドルフィンアラビアン系くらい貴重だよ。

 

友達と喋ってたんだけど、俺が競馬を始めた頃は河内・南井・的場均とかそういう見た目からしていぶし銀な感じの玄人好みな騎手もまだ多くいたのに、今は騎手っていったらみんな小綺麗にしててメディア対応もソツなくこなす感じのイメージに変わってきてるところがあるように感じるのよ。

もちろん時代の変化だとか、たぶん競馬学校での教育なんかもあるだろうね。それと武豊の振舞いが意識的にしろ無意識にしろ全体に変化を与えていったのもあるんじゃないかなと俺は思う。それがあかんねんハングリー精神がどうのこうのとかまでは思わないものの、貴重な存在だからこそ、的場騎手にはやっぱり長く頑張っていてほしいとは思う。

そんで式の終わりに「ドローンで全体の記念写真撮りますから、的場Tシャツを着てる方はどうぞ前においで下さい!」ってなった時、前のほうにいるTシャツ着てない人達がちゃんと自主的に下がってくのがなんか一体感あって面白かったよ。多くの人は基本的に祝いに来てんだもんな。

 

俺は日程的にたまたま今日行っただけなんだけど、暑くもなく雨も降らなかったし、とても楽しめたのでよかったなー。

生ファンファーレうめえなーと思ったのと、初めて食ったモツ煮丼うめえなーと思った。ボリュームがすごすぎて腹いっぱいになった。友達いわく金沢の牛スジ丼はこんなもんじゃないらしい。世界は広いね。

最終当ててなんとか電車賃くらいはプラスにできたのに、帰りに駐輪場の精算機で番号間違えて知らない人の料金払っちゃった。まあ今日は競馬場の入場料が無料だったしいいか。ガハハ。

オジュウチョウサン勝っちゃったよ

オジュウチョウサン勝っちゃったよ。

ばっちりスタートを決めて番手につけたとこから1周目の3コーナーの入りで一瞬むむってなったけど、まあまあちゃんと前についていけて1周目のスタンド前であれこれ普通に勝つんじゃないの、と思った。

向こう正面でも手応えが良いのを見て、あれこれ勝つだろ、勝つだろこれ、あーこれ勝ったろ、勝ったろ、って一人でブツブツ言ってたら武豊がちょっと早めに仕掛けて、直線もうひと伸びして3馬身くらいつけて勝った。

実況で「オジュウチョウサン10連勝!」って言ってて笑っちゃったよ。

 

あそこで仕掛けるのこそ武豊って感じがして格好良いよなぁ。まあ下手に後ろを待って切れ負けでもしたら嫌だからってことなんだろうけど。

さて、どんな走りをしてくれるでしょうか。次も平地を使いたくなるような、インパクトのある勝ち方が理想ですが、そんなに甘いものじゃないとも考えています。とにかく楽しみです。

 

日記・コラム | 武豊オフィシャルサイト(7月4日)

これレースの後に読んだんだけど、もちろん保険はかけつつけっこう自信あるようにも読めるね。このへんが武豊だよなぁ。

 

 

 

これ、こんなに割れるってすごくない?誰にもわからんってことでしょ。

障害と平地の二刀流って表現を見てそれはちょっと違う気がしてたけど、挑戦してる内容のすごさと成功するかどうかの不確定さは大谷の二刀流にも通ずるところがあるよな。

あと無難なとこに票が多く入るあたりなんか日本人の回答だなって感じがした。別に外人に聞いたらどうなるのかは知らん。

 

この馬に新馬かなんかで乗った松岡は、レースであまりに弱すぎたせいで割と印象に残ってたらしい。馬ってやっぱ強くなっていくんだなぁ。ナリタブライアンもレース使えば使うほど強くなっていったって言うし。

いやー夢があるよ。次どうすんだろ。終わってから考えると、結果的にとはいえ選んだレースもよかったんだろうね。そのへんはやっぱ調教師もさすが競馬のプロだわ。

 

石神は最初全く受け入れられないくらい本気でむかついてたらしいね。そりゃそうだ。9連勝中で降ろされるなんて誰も想像しないわ。その昔アローエクスプレスを降ろされて死ぬほど悔しがったという柴田政人にも匹敵するよなこれ。

俺も最初に聞いた時はそんないい加減なデマどこから流れてくるんだよと思った。でももう障害でこれ以上ってのはないし、海外遠征っつってもグランドナショナルとかは全く別の競技だと思ってるし、そういう選択肢が出てくる馬なんだよな。そのこと自体がすごいし、「ここから先はもう夢の世界」みたいなところで勝ったのは本当にすごい。

 

オジュウチョウサンのファンと、逆張りうめぇと思う馬券ファンといただろうから馬券もそれなりに売れたんじゃないかな。しかも勝ったってことは割とみんな当たったからその後のレースの売り上げも伸びてる可能性がある。

いやーでも今週はそれどころじゃない人も多かっただろうしそこまででもないのかな。どうなんだろ。過去5年の9.10.11レースの売り上げ推移を知りたいけどいろんな要素を含んでるから簡単に比較はできないかも。

俺もやる気出して馬券買いに行ったら、普通の土曜日だったので場外やってなくて買えなかった。買おうと思ってた単勝枠連で決まるし、間違いないと思ってたアウトライアーズもあっさり勝つしなんやねん。ウハウハで明日のサーブルオールからいっぱい買えたはずなのにちくしょう。

 

そうそう友達が福島競馬場に行ってたらしくて、グッズ販売の列がコミケ並みに長かったらしい。これはもうウマ娘2期の主役決まりだな。いやー名前がそれっぽくないかな。いやオジュウちゃんって愛称ならいける。

あれか。勝負服の袖が赤と白の市松模様ってことはクロアチアの優勝を暗示してるんだな。ありがとうございます。

 

 

福永がダービー勝って、ダービージョッキーになって感じることや変わったことの話がすげー面白い。周りの見る目が違うとか、だからこそ背筋が伸びる思いになるとか、向こう数ヶ月の新馬戦すぐに全部決まったとか、競馬界における福永家の重みをより一層感じるようになったとか。

いつもわけ隔てなく全ての騎手に金返せーと叫んでる俺からしたらダービージョッキーとそうでない騎手の差異みたいなのは普段はピンとこないけど、昔でいう紅白出場とかレコード大賞とかそういう感じで関係者からしたらやっぱそういう肩書きや経験のあるなしってでかいんだろうな。

俺ダービーって複勝枠連しか当たったことないもんな。死ぬまでに単勝当てないと。あ、有馬記念に至っては2-3着のワイドしか当てたことないぞ。大レースに弱いのか、そもそも弱いのか。統計とってないけど、東京ダート2100mは得意です。

わたしの競馬ツイート2018春

 

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テイエムオペラオーの話します

 

5月17日、テイエムオペラオーが亡くなった。

 

強かったよなー。「強い」っつってもいろんな強さがあると思うんだけど、この馬の場合は飛び抜けたひとつの強さで戦うタイプではなかった。

重馬場を苦にしないというかむしろ得意、レースで引っ掛からない、揉まれ強い、地味にスタートも上手い、よくわかんないけど精神的にも強い(と関係者・解説者がよく言っていた)と、「勝つ」要素よりも「負けない」要素の多い競走馬だった。

だから、他の馬に先着されたとしてもそれなりの格好はつけるんだよね。そういう総合力の高さに加えて、体力的なタフさを持ち合わせていたあたりが、キタサンブラックに抜かれるまで賞金王を堅持し続けた要因なんでしょうね。

 

と言っても実際のところ俺も最強馬論争でこの馬の名前を挙げることはあんまりないし、一芸に秀でた個性的な馬のほうが見てて面白いのもよくわかる。

この馬が勝ちまくっていた頃は、派手な勝ち方をしないから見ててつまらないとか言われてたもんね。

まあでもよくよく考えてみれば確かに、現役当時に熱中してた割には、この馬が勝ったレース動画を見返すことは多くなかったような気もする。たまに見ても皐月賞有馬記念くらいだもんなー。

 

 

3歳

 

この馬が走り始めた頃は、俺も競馬を見始めてまだ何年も経っていなくて、G1レースでさえ全部は見てなかった。日曜の3時半って本当に半端な時間だしねー。

そんな俺がテイエムオペラオーを知ったのは皐月賞、それも競馬中継じゃなくて夜のスポーツニュースだった。

 

そりゃもう馬名のインパクトがとにかく大きかったのなんのって。うわーどえらい名前の馬がG1勝ちよった!と度肝を抜かれた。

あのインパクトに並ぶのは、今のところイナズマアマリリスとシゲルアカワインくらいか。いやいや、キングカメハメハなんて足元にも及ばないよ。

 

しかし馬名ってのは不思議なもんで、もし名前が「テイエムオペラ」だったら俺もあれほど入れ込んで応援しただろうか、と今にして思う。検証しようがないけれどね。

ちなみに欧州あたりからすると「T.M.Opera.O」はなんとなくいい感じの洒落た響きらしい。ほんとかよ。文化の違いって面白いね。

あと解説の吉田均さんはいつも「ティーエム」って発音してた気がする。

 

 

そんな感じで急に年末に飛んで、グラスワンダーvsスペシャルウィーク有馬記念。なつかしー。

今レースを見返してみると、オペラオーも全く差がないと言える強い競馬をしてるんだね。でも当時の俺にはグラスワンダーしか見えていなかった。グラスが勝っていたと知って安心してから、あぁ、あの3歳のやつが3着か、なかなかやるね、くらいだった。

グラスワンダーは翌年も現役を続けることになっていたし、まさかナリタトップロードとどっこいな印象だったテイエムオペラオー「1強」の時代が来るなんて、この頃は想像もしてなかったよ。

 

 

4歳

 

えーと、クリームパンのクリーム食べないくらいの勢いですっごい話を飛ばすけど、ここはひとつ許してほしい。

 

有馬記念です。

 

道中で他馬から完全にマークされて・・・とかそういうのは当時の俺はよくわかんなかった。

スタートは良かったけれどじわじわ後方に下がっていって、なんか・・・あれ?これやばくない?やばいよね?おいおい、おいおい!そうかー・・・さすがに年間全勝までは難しうわー来た!来た!来た!すげー!勝ったー!

 

やっぱりあの実況だよね。

テイエムは来ないのか!テイエムは来ないのか!テイエム来た!テイエム来た!テイエム来た!テイエム来た!テイエム来た!テイエムかー!テイエムかー!わずかにテイエムかー!」

これがレース実況として正解なのかは知らんけど、やっぱりこういう実況が一番興奮する。アナウンサーの人はオペラオーからけっこう買ってたのかもな。

 

いやーしかし終わってみれば本当に強いなー。東京ドーム10個分くらい強い。

「事実は小説よりも奇なり」って言うけど、これもう現実が競馬ゲーム超えてるよね。リセットなしでこんなの有り得る?

 

 

5歳の春

 

大阪杯でいきなり4着に負ける。これはびっくりした。ちょっと意味がわからないですね。やばやばのやば。

 

ナリタトップロード阪神大賞典をすんげーぶっちぎって勝ってるし、メイショウドトウもきっちり日経賞を勝ったのに、オペラオーはこれで大丈夫なのか。

 

 

春の天皇賞

 

後退してゆくセイウンスカイを横目に、積極的な競馬で早めに先頭に立ったナリタトップロード、それをテイエムオペラオーが差し切って勝利。

当時は最後にしっかりと前を交わすような競馬に見えて、さすが!とか思ってたけれど、今レースを見返してみると4コーナーでムチが入ったりしてて、やっぱり反応が鈍くなってきてるんだなぁ。

最後にちょこんと差してきたメイショウドトウがG1では5戦連続の2着、ナリタトップロードは前年と同じ3着。こりゃたしかに馬券買ってるほうからしたら面白くないかもしれないわ。

 

ともかく、これでいよいよG1は7勝目。ついにシンボリルドルフという歴史に並んだわけですわ。「七冠馬」に肩を並べたかどうかは当時から賛否あったけれど、少なくとも数字の上では並んだ。

そして年内に残ったG1は4つ。このまま無事なら新記録余裕ですかねガッハッハ。当時は割と普通のテンションで「10勝まである」と思ってたんだよね。なんかこの馬見てるとゲーム脳になってくるんだよ。

 

 

宝塚記念

 

先行していたメイショウドトウが楽々と前に並びかけるのと対照的に、オペラオーは終始周りを他馬に囲まれた状態。またかよー。やめてよー。

あのシンボリルドルフの主戦だった岡部がずっーと外を塞いでるんだよ。何してくれてんねん。

さらに4コーナーでは立ち上がりかけるほどの不利を受けて、直線でなんとか外には持ち出したけれどさすがに今回は届かなかった。

届かなかったにしても、メイショウドトウ目掛けての末脚は本当に強烈だったのでとても印象的だった。

これまで散々負かしといて、自分が負けそうになったらいきなり親の仇のみたいに追っかけてくるんだからメイショウドトウからしたらたまんないよね。

 

決して長距離向きとも思えないメイショウドトウ、適性を考えると勝負を賭けるならここか、とも言われていた。

さすがに今回は「オペラオー負けて残念」よりも、「ドトウ念願の初G1おめでとう」の雰囲気が大きかった。関西の大物馬主・メイショウさんも初G1だったしね。

 

 

5歳の秋

 

京都大賞典

 

外から先に上がっていったナリタトップロードは楽な手応えなのに、追いかけるオペラオーは和田がグイグイ押しても反応が鈍い。さらに内からステイゴールドが伸びてくる。

やっとエンジン掛かってきたかと思ったところで、ステイゴールドが外に斜行して、進路を失ったトップロードの渡辺がなんと落馬!びっくりして声が出た。

ステイゴールドはやっとオペラオーの前でゴールしたのに、失格になった。繰り上げでオペラオーが1着。

記録上は勝ちがついたけれど、内容では完全に負けてるよなこれ。春のように、叩いて変わってくれればいいんだけど・・・。

 

それと、このレースで逃げ粘って3位入線から繰り上げ2着になったスエヒロコマンダーも、つい最近亡くなっているんだよね。

そーいやイナズマアマリリスってスエヒロコマンダーの産駒だったな。

 

 

秋の天皇賞

 

前走があまりにふがいないレースだったので、今回は・・・どうなの?さすがにそろそろピークを過ぎてきたか?という見方も多かった。

まあ仮にそうだとしても、じゃあ他の出走馬に逆転できるやつはいるのかよ、いやー、どうっスかね、って感じだったんだよね。メイショウドトウだって年齢は同じなんだし。

それが当日の雨で重馬場になって、あーこれじゃあオペラオーが断然有利だわって感じで、わかりやすく単勝オッズが安くなっていったんだよね。

 

G1ではさすがに脇役だけれど、俺が好きだった大逃げのサイレントハンターはここが引退レースってことで、最後に思いっ切り逃げる姿を見届けるはずだった。それが、まさかまさかの大出遅れですよ。

逃げるはずの馬が逃げられなかったせいで、「えっ・・・?どうすんのこれ」って感じでめちゃくちゃなスローペースになった。押し出されたメイショウドトウが逃げる形になっちゃって、ちょっとかわいそうなくらいだったなぁ。

最後はさすがオペラオーといった感じで抜け出しかかるんだけど、大外からなんか来てる。アグネスデジタルだー。やめてー。

内外すげー離れててわかりづらいけれど・・・これは差されて・・・るよなぁ。はぁ。また2着か。

 

 

ジャパンカップ

 

トゥザヴィクトリーの謎の大まくりを尻目に、直線半ばでドカーンと抜け出して、うわーこれは完璧だ、ちょっと足踏みしたけれど、8勝目、ついにやったよ・・・。

とうっとりしていたところに外からジャングルポケットが伸びてくる。かなり粘って抵抗はしたものの、最後の最後にクビ差だけ屈した。

ジャングルポケットにマークされるような形になって最後に差されたとはいえ、これが王者の競馬だ。もうベストレースと言えるくらいの競馬をしている。感動した。

 

京都大賞典の時はこの秋は本当にどうなることかと思ったもんだけど、まだまだ強いんだこの馬は。当たり前だろ、テイエムオペラオーなんだぜ。なめんなよ。

 

 

引退レースの有馬記念は、中山競馬場へ観に行った。

当時は前売り入場券がないと入れなかったんだけど、仲間が手に入れて誘ってくれたんだよね。

 

いやー、その日も馬券が全然当たらなくてさぁ、メインレースが近づく頃にはもういろいろと考えを巡らせる余裕なんか無くなってたんだよね。体感で10kgは体重減ってたから。

どうせ当たらないなら・・・という、半分投げやり半分格好付けみたいな感じでテイエムオペラオーナリタトップロード馬連1点だけを買ってレースを観た。

 

いやー、マンハッタンカフェだけはないと思ってたんだけどなぁ。なんかすんごい荒れ方してるし。

とうとうG1新記録は成らなかった。というか、もうあの時は記録がどうとかじゃなくて、ただもう一度勝つところが見たかっただけなんだよ俺は。

負けたショックと引退の寂しさで、レース後は1時間くらい喋れなかったんだよ確か。言葉が出ないというか。

 

 

ナリタトップロード・6歳

 

年明けに行われた、オペラオー・ドトウ2頭合同での引退式も終わって、気持ちにもひと区切りついていた、翌年の春。

 

現役を続けていたナリタトップロード京都記念を勝って、さらに阪神大賞典ではあのジャングルポケットを負かした。

重賞連勝で、天皇賞では堂々の1番人気ですよ。G1で1番人気なんていつ以来なんだ?と思って今調べたらなんとダービー以来らしい。

必ずしも「人気=実力」と限らないのはわかっているけれど、なんかすごく嬉しかったんだよね。みんな応援してるんだなぁ。がんばれよ。

そしたらレース実況で「北海道のテイエムオペラオーも、トップロードの勝どきを待っているぞ」みたいなこと言うんだもんね。ホロっとしちゃうよね。

 

しかし、勝ったのはあのマンハッタンカフェだった。2着にはジャングルポケットで、トップロードは3年連続の3着に敗れた。

そうかー。(やっぱり)駄目かー。

悔しいけれど、仕方ないね。これはもう何も言うことがない負けだ。さらにその後ろにはボーンキングサンライズペガサスと、掲示板はナリタトップロード以外の4頭が4歳馬ですよ。

 

回る回るよ時代は回る。

思い起こせばオペラオーが4歳時の宝塚記念も、年上のグラスワンダーと一騎討ちムードの中でオペラオーが勝って、グラスはレース中の故障で引退、それで時代が動いたような印象もあった。

 

 

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テイエムオペラオー 24戦14勝 獲得賞金 18億3518万9000円 競走馬データ - netkeiba.com

 

俺はあの「無敵の8戦全勝」よりも、「王者として戦い続けて、最後の最後には崩れた」2001年のほうが強く印象に残っている。勝ったレースをそんなに見返さないのも、もしかしたらそういう部分があるのかもしれない。

 

2017年いっぱいで歴代賞金王をキタサンブラックに譲って、年が明けて2月に岩元調教師が定年で引退して、それから何ヶ月もしないうちに息を引き取るなんて、出来過ぎてるよなぁ本当に。

改めて「事実は小説よりも奇なり」な馬だと感じる。

あとは和田の、次のG1勝利だね。

 

***

 

今のところ産駒に平地重賞の勝ち馬は出てないんだけど、初年度にメイショウトッパーってのがいてさ、重賞で和田が乗ってたんですよ。もちろん、あのメイショウドトウの馬主さんの所有馬。

競馬界随一とも言われる寛大さでお馴染みのメイショウさんも、競り市で白井調教師から最初に勧められた時は「えっ、テイエムオペラオーの仔か・・・」とさすがに逡巡したらしい。

 

 

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