お昼前に南風が吹いていた。と思う。南風らしきものを体に浴びた気がした。別にどっちでもいい。
せっかくなので、けっこう寒かったけど帰りはマフラーをしなかった。意味はない。意味がないことをすることに意味があるかというと、そうでもないと思う。
北風が吹いていた。そうかお前ももうすぐ終わりか、と冬に話しかけたかもしれない。
鼻で冷たい空気を吸い込んで、ゆっくりと口で吐く。赤い石油ポンプのように、一度自分を経由させて空気を送り出す仕組み。
ギリギリ夕焼けの時間だった。この1ヶ月の間、日が延びたなぁ、と毎日感じる。
そう思った次の瞬間にはもう真っ暗になっている。暗くなった瞬間に、どんな夕焼けだったか全く思い出せなくなるよなぁ。