ペットボトルが転がっている。
空のポカリスエット。
誰か助けてくれ。
転がっているんだ、そこに。
しかし俺は座ったまま動けない。
どうしてしまったんだ。
もしこっちに転がってきたら絶対に拾う。
そこまでの決意とシミュレーションはできている。
ヒーローになりたいわけじゃない。
ただこの状況をなんとかしたい。
全員が目を逸らす中、俺一人がペットボトルをじっと見ている。
仕方ねえなぁまったく、なんて顔で拾えばきっと胸のつかえはとれるだろう。
しかし俺は座ったまま動けない。
目的地に着いてしまった。
そして俺は逃げるように電車を降りた。
ペットボトルは今も転がっているだろう。
きっと誰にも拾われることはない。
哀川翔がいたらあの周辺にいた20人は全員半殺しだ。
計算上10人が死ぬことになる。
ところでアクエリアスがポカリスエットを抜いたのはいつだろう。
1万2千年前だろうか。
それはアクエリオンやがな。
2000年を過ぎた頃か。
俺は昔からアクエリアス派だ。
ポカリはしょっぱい。
都会と同じだ。