アルジャーノン面白かったー。
これ昔にユースケサンタマリア主演の翻案テレビドラマを観たことがあって、話の大筋はほぼわかってたんだけどそれでも面白かった。まあストーリーを知らないで読むのが一番面白いのは間違いないけど、俺やっぱ大好きだわこの話。
ドラマめっちゃ観てたもんなー。毎週楽しみにしてたのは覚えてるけど、具体的にどんなことを感じたのかは全く覚えていないし、他の出演者とか誰も思い出せない。俺も知能退行が始まってんのかな。パン屋の服着てニコニコしてるのがけっこうハマり役だったことしか覚えてないもん。
本当に面白すぎてうおおおおおおおおって読んだから、どこの描写がよかったとかそんなにわからんなぁ。めちゃくちゃおいしいケーキ食った時って、味は覚えててもクリームが何層だったとかスポンジの食感がどうだとか細かいこと覚えてないじゃん。
具体的な文章は覚えてないけどやっぱあれかな、だんだん頭が良くなっていって、それを実感し始めるところの流れはテンション上がった。漫画家が自分の連載を読んでる人から言われて一番嬉しいのは「この後、どうなるんですか?」らしいけど、ほんとそんな感じで、次どうなるんだろう?と思いながらのめり込んでしまったよ。
そんな感じだったから読んでる時には訳がどうとか考える余裕もなかったけど、たぶんこれ、翻訳した小尾芙佐っていう人もめちゃくちゃすごい。原文だとどういう表現になってんのかわからんけどめちゃくちゃすごい。いやほんとにめちゃくちゃすごい。まじで。読み終わって本当にそう思う。
あとはなんだろうな。真実を知ることが全てじゃないってB'zも歌ってたけど、まぁ主人公も知能だけじゃ乗り越え難いいろんなことを知っていくよね。それでも多くのことを頑張って受け容れていくのがすごいよなー。折り合いつけきれない部分もあるけど、崇高な目的の前に多くのことを些末なものとして脇によけられるのも知能の高さなんだろうか。
あーそうそう、知能が上がる手術を受けたことに対して最終的に「研究チームの彼らは手術の結果がどうなるか、様々な可能性を想定して事前に手を打った上でこの手術を行ったことはよくわかるので、そこに対して批判する気にはなれない」みたいな冷静なこと言ってたのは印象的だった。
それとどうもこの話を物語だと思えない感覚があって、俺どっかでこの話に書かれてることはきっと事実なんだろうと捉えてるところがあるんだよね。リアリティがすごいからなのか、作家の手腕によるものなのか、俺の知能の低さなのか、理由はわからん。
なんか知能の上昇下降だけじゃなくて、人生における人間の成長と衰えになぞらえて考えられる部分があるのかもしれないなー。
まあ何をもってして知能の高い人間とするかも難しいけどね。
たくさんの事柄を覚えておけるとか、それら全てを繋げて考えられるとか、そのことを誰にでもわかるように説明できるとか、頭の回転が早いとか、絶対バレないように嘘をつけるとか、上手な文章が書けるとか、交渉がうまいとか、人を使うのがうまいとか、状況に合わせた面白いボケをするとか、馬券がめっちゃ当たるとか、ある程度当てられる自信のあるレース以外は買わないというクレバーな判断ができるとか。
頭よくても体が健康じゃなかったら意味ないから早く寝よ。

- 作者: ダニエルキイス,Daniel Keyes,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/10/01
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